虐待は通報先がバラバラで紛らわしい
児童虐待、高齢者虐待、障害者虐待、配偶者暴力(DV)。それぞれ根拠となる法律が違うため、通報先も義務の重さも別々です。第120回医師国家試験でもこの区別が問われました。
実臨床でも「これはどこに連絡するんだったか」と迷う場面なので、ここで整理しておきます。
通報先の一覧
| 対象 | 通報・通告先 | 義務の性質 |
| 児童虐待 | 児童相談所または市町村 | 通告義務(疑いの段階で) |
| 高齢者虐待 | 市町村 | 重大な危険→義務 それ以外→努力義務 |
| 障害者虐待 | 市町村 | 重大な危険→義務 それ以外→努力義務 |
| 配偶者暴力(DV) | 配偶者暴力相談支援センターまたは警察 | 努力義務(本人の意思を尊重) |
通報先のゴロ 児は児相、高・障は市、DVは警とセンター
高齢者と障害者はどちらも市町村。ここが同じなので、実質「児童は児相」「DVは警察かセンター」の2つだけ覚えれば済みます。
虐待の通報先
児童は児相
高齢者・障害者は市町村
DVは警察とセンター
DVだけ扱いが違う理由
児童虐待・高齢者虐待・障害者虐待は、被害者が自分で逃げたり訴えたりすることが難しい相手です。だから通報が義務寄りになります。
一方DVの被害者は判断能力のある成人です。本人の意思を無視して通報すると、かえって加害者を刺激して危険が増したり、被害者が医療から遠ざかったりします。そのため本人の意思を尊重するという条件がつき、努力義務にとどまっています。
この「なぜ違うのか」を理解しておくと、選択肢で迷ったときに立ち返れます。
国試ではここが問われる
1つ目は守秘義務との関係です。虐待の通報は、いずれの法律でも守秘義務違反にはなりません。「守秘義務があるから通報できない」という選択肢は誤りです。
2つ目は確証の要否。児童虐待は「虐待を受けたと思われる児童」で通告義務が発生します。確証がなくても、疑いの段階で通告するのが正解です。「まず親を問い詰める」「証拠を集めてから通報する」は誤りになります。
3つ目は高齢者虐待には養護者による虐待と養介護施設従事者等による虐待の2種類があること。どちらも通報先は市町村です。

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