irAEとは
irAE(immune-related Adverse Events:免疫関連有害事象)は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)によって起こる副作用のことです。ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブなどが代表薬です。
第120回医師国家試験で初めて出題されました。がん治療の主軸になっている薬ですから、今後さらに問われる頻度は増えると思われます。
なぜ全身のどこにでも起こるのか
ICIは、がん細胞がT細胞のブレーキ(PD-1やCTLA-4)を踏んで免疫から逃げているのを解除する薬です。ブレーキを外すので、がんへの攻撃が強まる一方、自己組織への攻撃も強まります。
つまりirAEの正体は薬剤性の自己免疫疾患です。自己免疫なので、理屈のうえでは全身のどこにでも起こりえます。だから覚えにくい。ゴロの出番です。
irAEのゴロ ヒダの乾杯、内心つらい
主要な標的臓器を6つ並べました。
| 音 | 臓器 | 代表的なirAE |
| ヒ | 皮膚 | 発疹、瘙痒、重症薬疹 |
| ダ | 大腸 | 下痢、大腸炎 |
| カン | 肝 | 肝炎、肝機能障害 |
| パイ | 肺 | 間質性肺炎 |
| 内 | 内分泌 | 甲状腺機能障害、下垂体炎、副腎不全、1型糖尿病 |
| 心 | 心筋 | 心筋炎、心膜炎 |
irAEの好発臓器
ヒ(皮膚)ダ(大腸)のカン(肝)パイ(肺)、内(内分泌)心(心筋)つらい
この6つに加えて、腎(間質性腎炎)、神経・筋(重症筋無力症、脳炎、筋炎)も押さえておくとよいでしょう。
見落としやすい2つのポイント
1つ目は投与終了後にも発症しうることです。薬をやめたから安心、とはなりません。数か月後に出てくることもあります。
2つ目は内分泌障害の扱いです。irAEの原則治療はステロイドですが、甲状腺機能低下症や副腎不全といった内分泌障害は、ホルモン補充をしながらICIを継続できることが多いです。「irAEが出たら必ず中止」ではない、という点が出題ポイントになります。
とくに心筋炎は頻度こそ低いものの致死率が高いため、動悸や胸痛、心電図変化を見たら真っ先に疑う必要があります。

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