ステロイドで毛が生えやすくなると聞きました。明日から毛がボーボーになるの?
毛が生えやすくなりますが、明日からすぐにもっさりと毛が生えることは考えにくいですよ・・・
(ステロイドの副作用は知ってるけど、出現時期については自信ないな・・・勉強してみよう)
ステロイドを導入することになった患者さんからの質問です。副作用の出現時期を時系列でまとめてみました。
患者さんへの説明ポイント
・副作用が出現しても対応可能
・ステロイド漸減とともに予防薬をやめていくことが出来る
不眠・精神症状
ステロイド量に依存
不眠はステロイド開始直後から、精神症状は数日~10日後より出現
ステロイド精神病の治療は可能な限りステロイドの減量または中止。困難な場合は精神科コンサルトにて、向精神病薬の導入を考慮。
続発性副腎不全
健常人はプレドニゾロン換算で3-5mg/日ステロイドホルモンを分泌している。
プレドニン5mg/日以下での続発性副腎不全症を否定している文献もあるが、高齢者ではプレドニン3-5mg/日の長期内服でもストレス時には続発性副腎不全をきたすことがある。ステロイド軟膏など経皮的ステロイドを慢性的に使用しているだけでも起こりうる。
ステロイド性骨粗鬆症
骨量減少のスピードが最も速いのはステロイド開始直後から3ヶ月間。具体的にはプレドニン5mg/日を3ヶ月以上の期間使用予定の閉経後女性および50歳以上の男性は骨粗鬆症予防の適応。既存骨折があれば全員、あるいは危険因子を点数化してスコアが3点以上あれば治療対象。
特発性大腿骨頭壊死
プレドニン15mg/日以上で、特に治療初期に大量ステロイド投与された場合にはリスクが数倍になる。治療はビスフォスフォネート製剤、進行例ではTHA(全人工股関節置換術)、BHA(人工骨頭置換術)。
糖尿病、中心性肥満
ステロイド開始後1~2ヶ月して出現。食欲中枢を刺激して過食になるため、食事量への注意を促す。インスリン抵抗が主病態。長期ステロイドが必要な場合は漸減、隔日投与を検討。
ニューモシスチス肺炎
プレドニン20mg/日を1ヶ月以上使用する場合にリスクが高くなる。関節リウマチに対する少量ステロイドでは予防投与の適応となることはほとんどない。
感染症(ニューモシスチス肺炎以外)
ステロイド用量依存性にリスクが高くなり、特にプレドニン10mg/日以上または積算投与量700mg以上では感染症リスクが高いとされる。
参考文献
※2 「骨粗鬆症の予防と治療 ガイドライン 2015年版」pdf版
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