分娩後出血(PPH)の原因は4つのT
分娩後出血は妊産婦死亡の主要因です。原因を4つのTで整理するのが世界共通の考え方になっています。
しかもこの4つは頻度順に並んでいるので、そのまま鑑別を進める順番として使えます。よくできた語呂です。
4Tの一覧
| T | 日本語 | 具体的には |
| Tone | 弛緩 | 子宮弛緩症(最多) |
| Trauma | 裂傷 | 頸管裂傷、腟壁裂傷、子宮破裂 |
| Tissue | 遺残 | 胎盤遺残、癒着胎盤 |
| Thrombin | 凝固 | 産科DIC、羊水塞栓 |
4Tのゴロ 弛緩して、裂けて、残って、固まらない
日本語で一続きにすると、そのまま病態の説明になります。
分娩後出血の4T
弛緩して(Tone)、裂けて(Trauma)、残って(Tissue)、固まらない(Thrombin)
最多は子宮弛緩症で、分娩後出血の7割前後を占めます。まず子宮収縮を確認する、というのが実際の動きにも一致します。
子宮弛緩症を疑う状況
子宮が疲れてしまう状況、つまり子宮が伸ばされすぎたときと働かされすぎたときです。
伸ばされすぎ:多胎妊娠、羊水過多、巨大児。働かされすぎ:遷延分娩、急速分娩、多産。加えて子宮筋腫や絨毛膜羊膜炎も原因になります。
診断は触診で子宮が柔らかいこと。治療は子宮収縮薬(オキシトシンなど)と双手圧迫、それでも止まらなければ子宮動脈塞栓術やバルーンタンポナーデへ進みます。
出血量の評価はショックインデックス
産科では出血量を目で見て過小評価しがちです。そこでショックインデックス(SI)を使います。
SI = 心拍数 ÷ 収縮期血圧。SI 1で約1.5L、SI 1.5で約2.5Lの出血量に相当するとされます。若い妊婦は代償能力が高く、血圧が下がったときにはすでに手遅れなので、心拍数の上昇を早く捉えることが重要です。
国試ではここが問われる
「分娩直後に大量出血、子宮は柔らかく触れる」→ 子宮弛緩症で子宮収縮薬。「子宮は硬く収縮しているのに出血が続く」→ 産道裂傷を疑う。この対比が定番です。
また、産科危機的出血ではフィブリノゲンの低下が早期から起こる点も押さえておきましょう。産科DICではフィブリノゲン150mg/dL未満が危険なサインとされます。

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