炎症性腸疾患(IBD)の2大疾患
潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)は、どちらも原因不明の慢性炎症性腸疾患です。似ているようで所見はきれいに対照的なので、対比で覚えるのが最短です。
第119回・第120回とも消化管の出題は多く、この鑑別は必須事項です。
鑑別表
| 潰瘍性大腸炎(UC) | Crohn病(CD) | |
| 部位 | 大腸のみ、直腸から連続性 | 口〜肛門のどこでも、非連続(skip lesion) |
| 深さ | 粘膜〜粘膜下層 | 全層性 |
| 典型所見 | 鉛管像、陰窩膿瘍、偽ポリープ | 縦走潰瘍・敷石像、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫 |
| 症状 | 血便、粘血便、しぶり腹 | 腹痛、下痢、体重減少、発熱 |
| 合併 | 中毒性巨大結腸症、大腸癌 | 瘻孔・狭窄・膿瘍・痔瘻 |
| 喫煙 | 増悪因子ではない | 増悪因子 |
Crohn病のゴロ 縦に敷いて、非連続で全層
Crohn病の特徴を一続きにします。
Crohn病の特徴
タテ(縦走潰瘍)にシキ(敷石像)いて、ヒ(非連続)ゼン(全層性)
潰瘍性大腸炎のゴロ 直から連続、血便・鉛管
UCは直腸から始まって上に連続的に広がります。
潰瘍性大腸炎の特徴
チョク(直腸)からレン(連続性)、血便と鉛管像
この2つで多くの問題は切れる
迷ったときの決め手は次の2つです。
1つ目、痔瘻があればCrohn。若年者の難治性痔瘻でCrohn病が見つかることは実際によくあります。全層性の炎症だから瘻孔ができる、と機序で理解しておくと応用が効きます。
2つ目、鉛管像はUC。慢性の炎症でハウストラ(結腸ヒモによるくびれ)が消え、注腸造影で鉛の管のようにのっぺりと写ります。
喫煙の向きが逆
紛らわしいのが喫煙です。Crohn病では喫煙が増悪因子で、禁煙が治療の一部になります。一方潰瘍性大腸炎は非喫煙者・禁煙者に発症しやすいという疫学があります。
「炎症性腸疾患だからどちらも禁煙」と単純化すると誤ります。UCについては喫煙を勧めるわけでは当然ありませんが、リスク因子の向きが逆である点は問われます。
国試ではここが問われる
治療の対比も出ます。UCは5-ASA製剤が基本で、重症例ではステロイド、血球成分除去療法、生物学的製剤へ。難治例では大腸全摘で根治しうるのが特徴です。
Crohn病は栄養療法(成分栄養)が治療の一角を占める点が独特です。また消化管全体が対象なので手術しても根治しない、再発を繰り返すという違いがあります。

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