魚を食べて蕁麻疹が出た! 原因はアレルギー?食中毒?

魚を食べて蕁麻疹が出た! 原因はアレルギー?食中毒?

アレルギー:魚に含まれるパルブアルブミンがⅠ型アレルギーを誘発し、マスト細胞が放出するヒスタミンの血管拡張作用により蕁麻疹が生じる
食中毒:魚に含まれるヒスタミンの血管拡張作用により蕁麻疹が生じる

魚を食べた後に蕁麻疹が出る事がある。蕁麻疹の原因として、食物アレルギー又はヒスタミン中毒の2つの可能性がある。

食物アレルギーは特定の食物(鶏卵, 牛乳, 小麦, そば, エビ, カニ, 落花生など)摂取から15~30分のうちに、蕁麻疹、血管浮腫、気管支喘息、重篤な場合はアナフィラキシーショックなどを呈する疾患。発症機序には1型アレルギーが関与する場合が多い。腸管には吸収した食物に対する免疫応答を抑制する機構が備わっており、この機構の異常や未発達が食物アレルギーの原因となっている。魚の主なアレルゲンはパルブアルブミンであり、IgEを介してマスト細胞が刺激されヒスタミンを大量に放出することで血管拡張作用がおこり、蕁麻疹が生じる。

食物アレルギーの原因食物の診断には問診で食物内容を確認するほか、抗原特異的IgE抗体検査、皮膚テストなどを参考にするが、これらの検査は感度が高いが特異度は低く、最終的な診断は食物除去・負荷試験による。なお魚アレルギーの有病率は約0.6%1)で、成人での新規発症例はさらに低い。

ヒスタミン中毒は、サンマ、サバ、イワシ、マグロ、ブリなどの赤身魚が原因となる事が多い。本来これらの魚にヒスタミンは含まれないが、魚肉にはヒスチジンが豊富に存在しており、魚に付着する数種のヒスタミン生成菌が産生するヒスチジン脱炭酸酵素により、ヒスチジンがヒスタミンに変換される。ヒスタミンは血管拡張作用があり、蕁麻疹をきたす。

複数名が同時発症している場合にはヒスタミン中毒の疑いが高くなる。診断の確定には、摂取された魚に含まれるヒスタミン量の測定が必要で、各地域の保健所に連絡して対応される必要があるが、摂取された魚が残っておらず原因を特定できないことも多い。

ヒスタミン中毒によるアレルギー様症状を食物アレルギーと安易に判断して、魚を禁止してしまうケースもあると考えられる。

参考文献

1) Clin Rev Allergy Immunol. 2016 Feb;50(1):64-9.
食中毒予防必携 -第3版-
厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」

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