肩関節の前方不安定性に対するLatarjet法とFree Bone Block法との比較

Latarjet法 vs Free Bone Block法

PICKUP論文

Gilat R, Haunschild ED, Lavoie-Gagne OZ, et al. Outcomes of the Latarjet Procedure Versus Free Bone Block Procedures for Anterior Shoulder Instability: A Systematic Review and Meta-analysis.
Am J Sports Med. 2020 Aug 14

BACKGROUND:肩関節の前方不安定性のための骨ブロック(FBB)法はLatarjet法の代替または救済策として提案されています。ただし、これらの治療法の結果を比較する研究は限られています。

PURPOSE:肩の前方安定化手術を受けている患者の臨床転帰をLatarjet法とFBB法で比較しました。

STUDY DESIGN:システマティックレビューとメタアナリシス, 4

METHODS:PubMed、Embase、およびコクランライブラリデータベースを用いて、英語で公開された人間対象の研究について、開始から2019年まで体系的に検索しました。検索は、最低2年間のフォローアップで肩関節の前方不安定性に対してLatarjet法またはFBB法を受けた患者の臨床転帰を報告する研究を含むPRISMA(系統的レビューおよびメタ分析の優先報告項目)ステートメントに従って行われました。症例報告と手術テクニックは除外されました。データを合成し、ランダム効果メタ分析を実施して、再発性不安定性、他の合併症、変形性関節症の進行、スポーツへの復帰、および患者報告による転帰(PRO)の改善の割合を決定しました。

RESULTS:合計2007件の研究がスクリーニングされました。これらのうち、70件の研究が選択基準を満たし、メタアナリシスに含まれました。これらの研究は合計4540肩の結果を報告し、そのうち3917肩はLatarjet法で、623肩はFBB法で治療されました。加重平均フォローアップは、Latarjet群で75.8ヶ月(期間 24〜420ヶ月)、FBB群で92.3ヶ月(期間 24〜444ヶ月)でした。不安定性の再発率(それぞれ5%対3%;P=0.09)、その他の合併症(それぞれ4%対5%;P=0.892)、変形性関節症の進行率(それぞれ12%対4%;P=0.077)、スポーツ復帰率(73%対88%;P=0.066)の全体ランダムプール要約推定値には、Latarjet群とFBB群の間に有意差は認められませんでした。 American Shoulder and Elbow Surgeons scoresは、LatarjetとFBBで共に改善し、FBB後に有意に大きく増加しました(Latarjet 10.44 対 FBB 32.86; P = .006)。他の記録されたPROスコアはすべての研究で改善され、グループ間に有意差はありませんでした。

CONCLUSION:現在のエビデンスは、肩関節窩に骨欠損がある状況下での肩関節前方安定化のためのLatarjet法とFBB法は安全で有効であることを示している。再発の不安定性、他の合併症、変形性関節症の進行率、スポーツへの復帰率に有意差はありませんでした。PROの大幅な改善が両方のグループでみられました。Latarjet法とFBB法の転帰に関する研究の間には有意な不均一性が存在しており、今後の質の高い比較研究が必要とされます。

Latarjet法とは?

反復性肩関節脱臼に対する手術のGold standard は鏡視下Bankart 法1)である。これは低侵襲であり合併症が少ないなどのメリットがあるが、再脱臼率は0-30%である。そのため、関節窩欠損が20-25%以上、Hill-sachs lesionが骨頭関節面の1/4以上、関節包機能不全、HAGL lesionを有する症例に加え、collision/contact athlete やBankart法の術後再脱臼例に対しても烏口突起移行術が推奨されている。烏口突起移行術の一つであるLatarjet法は移植烏口突起による骨性支持の向上、共同腱による関節上腕靭帯の補強作用、および肩甲下筋腱の緊張増大による高い脱臼制動効果がある。Latarjet法の術後再脱臼率は鏡視下Bankart法よりも低いという報告がある。2)3)

Latarjet surgery for recurrent anterior shoulder dislocation with bony Bankart leion
youtube Latarjet surgery for recurrent anterior shoulder dislocation with bony Bankart lesion

参考文献
1)Hobby, J., et al. : Is arthroscopic surgery for stabilization of chronic shoulder instability as effective as open surgery? A systematic review and meta analysis of 62 studies including 3044 arthroscopic operations. J. Bone Joint Surg. Br., 89: 1188―1196, 2007.
2)Yamamoto, N., et al.: The stabilizing mechanism of the Latarjet procedure: a cadaveric study. J. Bone Joint Surg. Am., 95: 1390―1397, 2013.
3)Zimmermann, S, M., et al.: Long-term restoration of anterior shoulder stability: a retrospective analysis of arthroscopic bankart repair versus open latarjet procedure. J. Bone Joint Surg. Am., 98: 1954-1961, 2016
4)反復性肩関節脱臼に対する鏡視下 Bankart 法と直視下 Latarjet 法の術後成績の比較 整形外科と災害外科68:(3)544~548,2019.

これは専門医取得を目指す研修医が勉強の為にまとめたものです。当該知見のみで医学的な判断は出来かねます。何らかの症状でお困りの方は、1人で抱え込まずに、病院を受診されることをお勧めします。
専門医の先生方へ:間違いや補足事項などがあれば、ご指摘頂けましたら幸甚です。

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