悪性高熱症と悪性症候群の違い

救急科

悪性症候群抗精神病薬の使用抗Parkinson病薬の急激な中断
悪性高熱症:遺伝的素因を持つ患者に揮発性麻酔薬,
脱分極性筋弛緩薬使用時

悪性症候群

原因薬剤:ドパミン系刺激薬(L-Dopa, ドパミンアゴニスト)の中止、減量、向精神病薬の開始・中断、再開
頻度:約0.1%
好発:悪性症候群のほとんどは、原因医薬品の投与後、減薬後、あるいは中止後の1週間以内に発症
症状:発熱(38℃以上)、意識障害、錐体外路症状(筋固縮、振戦、無動)、自律神経症状(発汗、頻脈、血圧変動)など
注意点:発熱は微熱に留まることもあり、またCKは1000 IU以下の場合も決して稀はないので、症状の重篤度や検査所見の異常の程度、あるいは診断基準に過度に固執する必要はない

Levensonらの診断基準

以下の大症状の3項目を満たす, または大症状の2項目+小症状の4項目を満たせば確定診断

大症状:①発熱、②筋強剛、③血清CK上昇
小症状:①頻脈、②血圧の異常、③頻呼吸、④意識変容、⑤発汗過多、⑥白血球増多

悪性高熱症

原因薬剤:ハロタン,イソフルラン,セボフルラン,デスフルランなどの全ての揮発性吸入麻酔薬,およびスキサメトニウムなどの脱分極性筋弛緩薬


頻度:成人 1人/4万人 小児 1人/1万~1.5万人
死亡率:10~20%
予防:術前の家族歴、既往歴聴取
症状: 説明の出来ないETCO2増加、 筋強直、熱40℃以上、15分間に0.5℃以上の体温上昇 、頻脈、不整脈、血清K上昇(心電図テントT)、ミオグロビン尿(赤色尿)、チアノーゼ、頻呼吸(CO2蓄積)

悪性高熱症の治療アルゴリズム

悪性高熱症患者の管理に関するガイドライン 2016 より引用

術後悪性高熱症の治療アルゴリズム

悪性高熱症患者の管理に関するガイドライン 2016 より引用

参考文献
悪性高熱症患者の管理に関するガイドライン 2016

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