血清クレアチニン(Cr)が上昇・低下する原因

検査

基準値:男性0.65~1.09mg/dL 女性0.46~0.82mg/dL ※基準値は施設により異なる
検査目的:腎機能評価

クレアチニンは、筋肉中のクレアチンの終末代謝産物であり、腎糸球体で濾過され、尿細管での再吸収や分泌が少ないので、糸球体濾過量(GFR)の指標として用いられる。しかしながら、GFR が60%程度に低下するまでクレアチニンは基準値内にあることが多いので注意する必要がある。クレアチニンの上昇は腎前性因子(脱水、ショック、心不全など)、腎性因子(糸球体腎炎、間質性腎炎、尿細管障害など)、腎後性因子(尿路閉塞など)で起こりうる。また、筋肉量の増加(スポーツ選手、先端巨大症など)があれば、クレアチニンは軽度上昇しうる。反対に、筋肉量が減少したり(長期臥床、筋ジストロフィーなど)多尿(尿崩症など)でクレアチニンは低下する。

GFR が60%程度に低下するまで、血清クレアチニンは基準範囲内にあることが多いので、初期の腎障害の診断には内因性クレアチニンクリアランス(Ccr)の方が適する。一般臨床ではCrとBUNを同時に測定し、BUN/Cr比が10以上であれば、腎外性因子が関与していると考える。逆に低蛋白食や血液透析後ではBUN/Cr比は10以下となる

その他の特徴
クレアチニンは筋肉量に比例するので、男性は女性よりやや高値。
日内変動がある。
肉食後上昇するので早朝空腹時が最も低い。
絶食時は日内変動見られない
血清Cr値を用いて糸球体濾過量 GFR を推定する場合以下の計算式を用いる

クレアチニン値考えられる病態・疾患
低下男性0.65mg/dL以下
女性0.46mg/dL以下
[高頻度]妊娠, 糖尿病の初期, 長期臥床
[可能性]尿崩症, 筋ジストロフィー, 多発性筋炎, 筋委縮性側索硬化症
上昇男性1.09~2mg/dL
女性0.82~2mg/dL
[高頻度・可能性]脱水, 心不全, ショック, 糸球体腎炎, 間質性腎炎, 尿管結石, 前立腺肥大, 先端巨大症, 薬物性腎障害
2mg/dL以上[高頻度]腎不全

参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ
診断に自信がつく検査値の読み方教えます

コメント