フィブリノゲン上昇、低下の原因

フィブリノゲン検査

フィブリノゲンは、肝臓で合成される糖蛋白。血小板凝集(一次止血)にも、血液凝固フィブリン網形成(二次止血)にも利用される。フィブリノゲン減少は重篤な出血傾向をきたす。フィブリンやフィブリノゲンは、プラスミンにより分解されると、フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)となり、網内系で処理される。

フィブリノゲンは、肝臓での産生低下や凝固亢進による消費、プラスミンによる分解などで減少。一方、感染症や悪性腫瘍で増加する。 DICでは100以下に低下することが多い。

DICの基礎疾患としての感染症や悪性腫瘍ではフィブリノゲンが増加しているので、DICを合併してもフィブリノゲンが減少していないことに注意が必要。フィブリノゲンの低下は旧厚生省研究班のDIC診断基準及び国際血栓止血学会/標準化委員会(ISTH/SSC)のovert DIC診断基準に採用されている。一方、日本救急医学会の急性期 DIC 診断基準には採用されていない

フィブリノゲンが数日以内に50%ほど低下すれば、その値が正常であってもDICの可能性を考える必要がある。


■成人基準範囲 200~400mg/dL

フィブリノーゲン値考えられる疾患・病態
上昇700mg/dL以上[高頻度]感染症, 悪性腫瘍
400~700mg/dL[高頻度]感染症, 悪性腫瘍, 血栓症
[可能性]膠原病, 閉塞性黄疸, ネフローゼ症候群, 経口避妊薬
低下100~200mg/dL[高頻度]DIC, 肝硬変, 肝癌
[可能性]急性肝炎, ウロキナーゼ投与, 組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)投与, L-アスパラギナーゼ投与 バトロキソビン投与, Kasabach-Merritt症候群, 異常フィブリノゲン血症
100mg/dL以下[高頻度]DIC, 急性肝不全, 非代償性肝硬変
[可能性]無フィブリノゲン血症, 低フィブリノゲン血症, 異常フィブリノゲン血症, L-アスパラギナーゼ投与, バトロキソビン投与

参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データブック

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