LDHが上昇・低下する原因

LDH検査

基準値:120~245 IU/L
検査目的:肝細胞などの破壊・障害および悪性腫瘍の存在を疑う契機

LDH(乳酸脱水素酵素)は、体内のすべての細胞に存在する。5種類のアイソザイムがあり、アイソザイム分析により障害臓器を推定できる。

LDH1,2優位:心筋、赤血球→心筋梗塞、溶血性貧血など
LDH2,3優位:肺、白血球→白血病など
LDH5優位:肝臓、骨格筋→急性肝炎、うっ血性肝炎、肝細胞癌、筋ジストロフィーなど 

細胞からのLDH遊出が止まれば、血清 LDH 活性は正常化するが、その消失の速さはアイソザイムにより異なる。 LDH5は消失が早いため、 LDH5が上昇する急性肝炎、うっ血性心不全では、タイムリーに障害の程度を表す。LDH 1は半減期が2~3日と長く、 LDH の増加する急性心筋梗塞では2~3週間前の障害を知ることができる。

LDH(乳酸脱水素酵素)考えられる病態・疾患
低下120 IU/L以下[高頻度]H型サブユニット欠損症(ヘテロ接合体), 阻害因子(自己抗体)
[可能性]H型サブユニット欠損症(ホモ接合体)
上昇245~350 IU/L[高頻度]心不全, 心筋症, 慢性肝炎, 肝硬変, 慢性腎炎, ネフローゼ症候群, 悪性腫瘍
[可能性]皮膚筋炎, 関節リウマチ, 結合抗体
350~500 IU/L[高頻度]悪性リンパ腫, リンパ性白血病, 慢性骨髄性白血病, 悪性腫瘍, 皮膚筋炎, 進行性筋ジストロフィー
[可能性]急性肝炎, 心筋梗塞, 急性骨髄性白血病
500 IU/L以上[高頻度]心筋梗塞, 急性肝炎, 急性骨髄性白血病, 悪性リンパ腫, 悪性貧血

参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ
診断に自信がつく検査値の読み方教えます

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