血清総蛋白(TP)が増加、減少する原因

TP検査

基準値:6.5~8.0g/dL
検査目的:栄養状態, 肝・腎障害などの評価

血清中には様々なタンパク成分が存在するが、セルロースアセテート膜電気泳動によりアルブミン、α1グロブリン、α2グロブリン,βグロブリン、γグロブリンの5分画に分けることができる。通常総蛋白の増減は、血清蛋白の大部分を占めるアルブミンとγグロブリンの変化を反映している。総蛋白の増加は、γグロブリンの増加を反映しており、アルブミンが増加することは脱水症以外にはない。γグロブリン分画には、免疫グロブリンの IgG, IgA, IgM, IgD, IgEが含まれる。総蛋白の減少は、γグロブリンの減少も関与するが、多くの場合アルブミンの低下を反映している。アルブミンの低下は、栄養不良、肝合成能の低下、体外への喪失、代謝亢進により起こる。

溶血を起こすとヘモグロビンも蛋白として測定され、また測定系にも影響を与えるため、総蛋白は高めに出る。

血清総蛋白値考えられる病態・疾患
減少5g/dL以下[高頻度]ネフローゼ症候群, 重症肝障害, 悪液質
[可能性]蛋白漏出性胃腸症, 無γグロブリン血症, 先天性無アルブミン血症
5~6g/dL[高頻度・可能性]上記に加え, 栄養障害, 吸収不全症候群, 低γグロブリン血症
6~6.5g/dL[高頻度・可能性]上記に加え, 炎症性疾患, 血液希釈
増加8~9g/dL[高頻度・可能性]下記に加え, 慢性肝炎, 肝硬変の初期, 慢性炎症性疾患, 悪性腫瘍, 脱水症
9g/dL以上[高頻度・可能性]多発性骨髄腫, 原発性マクログロブリン血症, 自己免疫性肝炎


参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ

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