プロポフォール注入症候群(PRIS)とは?

PRIS麻酔科

PRISとは

Propofol infusion syndrome (PRIS)は、ICU鎮静で長期間プロポフォールが投与された患者に起こる稀な致死性合併症。
肝腫大、脂肪肝、脂肪血症、代謝性アシドーシス、横紋筋融解やミオグロビン血症を主症状とする。

PRISの病態はプロポフォールによるミトコンドリア機能の抑制と脂肪酸代謝の低下による ATP 産生低下により発生すると考えられる。
小児においてはプロポフォールの代謝・排泄が遷延すること、また高い脂肪代謝依存のため PRIS が発症しやすい状況にある。

診断基準

 

 Brayによる小児PRISの診断基準
1)突発性もしくは比較的突発性に治療抵抗性の徐脈が発現し、不全収縮(心静止)へ移行する

2) 以下の内少なくとも1項目を含む

 ・脂質異常症の発現
 ・肝腫大または剖検による肝臓の脂肪浸潤
 ・BE≦-10を呈する代謝性アシドーシス
 ・横紋筋融解もくしはミオグロビン尿を伴う筋症状

PRIS はプロポフォール投与中に発生し、①脂質異常症、②肝腫大、脂肪肝、③代謝性アシドーシス、④横紋筋融解やミオグロビン血症で発見される骨格筋の破壊、のうち1 つ以上の症状を含む難治性の徐脈とされる 1)。また、低血圧、不整脈、心筋障害、腎不全、高カリウム血症、高体温などを合併することもある。

参考文献
1) Bray RJ: Propofol infusion syndrome in children. Paediatr Anaesth 1998; 8: 491-9.

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