間接ビリルビンが上昇する原因

間接BIl検査

基準値: 0.1~0.8 mg/dL ※施設によって異なる
検査目的:ビリルビン産生の把握

ビリルビンはヘム蛋白が処理されて生成される物質である. 体内で産生されたビリルビンは非抱合型ビリルビンとして肝臓に運ばれた後, uridine diphosphate glucuronyl transferase (UDPGT)の作用により抱合型ビリルビンに変化する. この非抱合型ビリルビンが間接ビリルビンにおおむね相当する. したがって間接ビリルビンの増加は, ①体内での生成過剰, ②肝臓での抱合異常により出現する.

体内での生成過剰を起こすものとして, 溶血性貧血やシャント高ビリルビン血症がある. シャント高ビリルビン血症は, 骨髄における無効造血の亢進に由来することが多い. 肝臓での抱合異常は体質性黄疸で認められる. Gilbert症候群, Crigler-Najjar症候群Ⅱ型はUDPGT活性の低下により出現している疾患であり, Crigler-Najjar症候群I型はUDPGT 活性の欠損により出現する. Lucey-Driscoll症候群は妊婦血中や母乳中に含まれるUDPGT抑制物質による黄疸である. 非抱合型ビリルビンは脂溶性であり, 尿中には出現しない.

間接ビリルビン値考えられる病態・疾患
上昇0.9~5 mg/dL[高頻度・可能性]溶血性貧血,新生児黄疸, Gilbert 症候群, Crigler-Najjar症候群Ⅱ型,シャント高ビリルビン血症,心不全, Lucey-Driscoll症候群
5~20 mg/dL[高頻度・可能性] CrigIer-Najjar症候群Ⅱ型,新生児黄疸
20 mg/dL以上[高頻度・可能性] Crigler-Najjar症候群1型

参考文献
異常値の出るメカニズム
臨床検査データ
診断に自信がつく検査値の読み方教えます

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